意外だったが、この辺りの細かい解釈が、3幕でとても効果的だ。社交界の花となった彼女を見て後悔する、という流れでは時に行き当たりバッタリな馬鹿な男にしか見えないオネーギンだが、元々プライドを外せば奥底では彼女に惹かれていたことがマチューのオネーギンからは感じられ、よりドラマチックだった。
男の見栄とそのくだらなさはこのバレエ作品は本来それがクランこのテーマなのでは、というほど強く描いているもののはずで、レンスキーの決戦前に迷いを見せるソロと、女たちが来ると威勢を張る姿との対比でそれは明白だが、オネーギンにおいてはタチアナへの1幕の態度がダンサーによってまちまち(に見える)だ。

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