昔いくら好きだったからって自分をひどい態度で振った男が今度は言い寄ってきたからと、あんなに迷うものかね、と以前感想を書いたことがある。なるほど、あの迷いにはもう少し深い理由があったわけか。
そんな二人の心の揺れを、3幕のPDDでは、引く、押す、身を投げ出す、受け止める、とリフトを多用することで視覚的に表した名振付に今回はいつになく納得した。
圧倒的身体能力で押してくるアプローチもクランコらしくて好きだが、40を超えた二人の今回の深い人物描写による物語は二人にしか成し得ないものだった。
記録。最後のPDDで出てきた時には、前の場面で涙を流していたのかマチューの左頬には涙の跡が既にあった。

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