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1 day ago
ところで、ウィトゲンシュタインの話を奥さんにしたら、「1+1+1+1、AIの方が4て返してくれそう。人間の方が気付くと違うルールで計算してること多い。特に職場とか。 」みたいな話になって、けっこう盛り上がったので小話を書くよ。TLがうるさくなったらゴメンね。しばらくミュートしてくれていいからね。
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1 day ago
1+1+1+1
会社A
「1+1は2です。そして、1+1+1は3です。」と、就職の時に言われた。ならば、足し算は通じてると思った。この職場は足し算が通じる!って。しかし、2ヶ月もしないうちにその幻想は打ち砕かれた。Aさんに提出物のチェックをお願いした時だ。
上司Aさん「ここ」
私「はい?」
A「1+1+1+1は同じ数字4つボーナスの20が入るから、24に直しといて」
「え?」
「ここ!」
「いや、わかるんですけど、それ、1+1+1+1を4にしとかないと後で困りませんか?」
「??…、教えてなかったなら仕方ないな。ごめんね。うちでは24なの」
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1 day ago
うちでは24?足し算ってそういうもんだったっけ?
釈然とせずに周囲を見回す。皆にも聞こえてると思うけど、誰もが平然と仕事を続けている。ある人は最初からそう思っていて、また別の人はこの会社になじむためにそうしているのかもしれない(と願う)けど、周囲の人は1+1+1+1が24であることを受け入れているようだった。私は足し算の整合性についてなお少し食い下がったが「ちょっと面倒くさい奴」という評価が上がっただけだった。
その日の帰り際、経理のKさんのため息が聞こえた。
「は〜〜やっぱり20多い。また残業だ……」
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1 day ago
会社B
程なく転職した。新しい会社でも1+1=2, 1+1+1=2というレクチャーを受けて働き出した。しかし、私も用心深くなっている。油断はしない。
「すみません、1+1+1+1って数字4つボーナスつきましたっけ?」
「え〜、そこはペナルティでしょ。-20だよ〜。1+1+1+1=-16ね」
「ま、まいなすじゅうろく?」
「そうそう。でも、ミスる前に確認してくれるなんて、さすがに経験豊富だねぇ。頼りになるよ〜」
(ほめられた?これが、私の、けいけん値?)
余計な事を言う前に退散する。そこレベル上げ必要かどうか考えながら帰るとき、経理のKさんのため息が聞こえた
「20足りん〜残業じゃ〜」
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1 day ago
会社AB
そういうわけで足し算が通じてそうな、経営が安定してそうな会社に就職した。
A「あ〜。これね。1+1+1+1はボーナス20でやっといて。で、B課長に確認とったら流していいよ〜」
「1+1+1+1=24了解です!(ほんとは4だけど!)」
私も、もはやプロである。なりたかったプロとは若干違う意味のプロではあるような気もするが、私のようなプロがいないと会社は回らない。忙しそうなB課長に何とか時間を作ってもらった。
B「君、うちでは4数ペナルティだから、ここは-16だよ。それだけ直したらいけるんじゃないかな。」
「はぁ!?」
B「ああ、君が中途採用の新人さんか。じゃ、頑張って!」
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1 day ago
せわしなく立ち去る忙しそうなB課長の背中を見送りながら、私は力なく呟いた。
「あの、本当は、4ですけど……」
AさんとB課長の間を、つまり24と-16の間を何度も往復するうちに、これが無限ループであることに気づいた。足し算の結果が無限ループになることあるんだ〜、とどこか醒めた自分がいた。無限ループに落ち込むために、何も1を3で割るとか、難しい計算をする必要はないのだった。
私は4と24の間のギャップも埋められない凡人だ。-16と24の間のギャップを埋められるハズがない。ならば、解決策は一つしかない。Aさんにチェックしてもらった案件は、B課長を通さないことだ(逆も然り)。
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1 day ago
私のデスクにはAさんにチェックを受けていない-16案件とB課長の決裁を受けていない24案件のファイルの山が順調に積み上がっていった。今後も2つの山は高くなる一方だろう。収束する見込みはない、というか、1件20の誤差が10件積み重なれば200に広がるわけで、収束からも順調に?遠のいている。AさんにもB課長にも相談できない私はどうすることもできず「本当は4ですけど〜」とSNSに投稿して過ごした。
経理のKさんは、今日も上機嫌だ。
「今日も残高合致!お先で〜す!」
+20と-20が何となくフワッと相殺されて会社は上手く回っていた。誰も困っていなかった。
ただ1人、私を除いては。
(完)
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会社A
「1+1は2です。そして、1+1+1は3です。」と、就職の時に言われた。ならば、足し算は通じてると思った。この職場は足し算が通じる!って。しかし、2ヶ月もしないうちにその幻想は打ち砕かれた。Aさんに提出物のチェックをお願いした時だ。
上司Aさん「ここ」
私「はい?」
A「1+1+1+1は同じ数字4つボーナスの20が入るから、24に直しといて」
「え?」
「ここ!」
「いや、わかるんですけど、それ、1+1+1+1を4にしとかないと後で困りませんか?」
「??…、教えてなかったなら仕方ないな。ごめんね。うちでは24なの」
釈然とせずに周囲を見回す。皆にも聞こえてると思うけど、誰もが平然と仕事を続けている。ある人は最初からそう思っていて、また別の人はこの会社になじむためにそうしているのかもしれない(と願う)けど、周囲の人は1+1+1+1が24であることを受け入れているようだった。私は足し算の整合性についてなお少し食い下がったが「ちょっと面倒くさい奴」という評価が上がっただけだった。
その日の帰り際、経理のKさんのため息が聞こえた。
「は〜〜やっぱり20多い。また残業だ……」
程なく転職した。新しい会社でも1+1=2, 1+1+1=2というレクチャーを受けて働き出した。しかし、私も用心深くなっている。油断はしない。
「すみません、1+1+1+1って数字4つボーナスつきましたっけ?」
「え〜、そこはペナルティでしょ。-20だよ〜。1+1+1+1=-16ね」
「ま、まいなすじゅうろく?」
「そうそう。でも、ミスる前に確認してくれるなんて、さすがに経験豊富だねぇ。頼りになるよ〜」
(ほめられた?これが、私の、けいけん値?)
余計な事を言う前に退散する。そこレベル上げ必要かどうか考えながら帰るとき、経理のKさんのため息が聞こえた
「20足りん〜残業じゃ〜」
そういうわけで足し算が通じてそうな、経営が安定してそうな会社に就職した。
A「あ〜。これね。1+1+1+1はボーナス20でやっといて。で、B課長に確認とったら流していいよ〜」
「1+1+1+1=24了解です!(ほんとは4だけど!)」
私も、もはやプロである。なりたかったプロとは若干違う意味のプロではあるような気もするが、私のようなプロがいないと会社は回らない。忙しそうなB課長に何とか時間を作ってもらった。
B「君、うちでは4数ペナルティだから、ここは-16だよ。それだけ直したらいけるんじゃないかな。」
「はぁ!?」
B「ああ、君が中途採用の新人さんか。じゃ、頑張って!」
「あの、本当は、4ですけど……」
AさんとB課長の間を、つまり24と-16の間を何度も往復するうちに、これが無限ループであることに気づいた。足し算の結果が無限ループになることあるんだ〜、とどこか醒めた自分がいた。無限ループに落ち込むために、何も1を3で割るとか、難しい計算をする必要はないのだった。
私は4と24の間のギャップも埋められない凡人だ。-16と24の間のギャップを埋められるハズがない。ならば、解決策は一つしかない。Aさんにチェックしてもらった案件は、B課長を通さないことだ(逆も然り)。
経理のKさんは、今日も上機嫌だ。
「今日も残高合致!お先で〜す!」
+20と-20が何となくフワッと相殺されて会社は上手く回っていた。誰も困っていなかった。
ただ1人、私を除いては。
(完)