とは言えヤーヴィンは君主制の実態をわかっていない気がします。歴史上の君主制は実態としてはそこまで権力集中しておらず(できず)、むしろ私企業のCEOの方が絶対的権限集中であるはずです。つまり資本主義企業とは実は非情でやばい組織であり、それが許されるのは組織規模が小さく、成人によってしか構成されておらず、短期間のミッションのため、トップを含めて人の入れ替えや切り捨てが可能だからです。国家はそれが簡単にできません。多くの君主制は国王が全ての人民の父のようなものと位置付ける(それが良いかは別として)。ヤーヴィンのレトリックは過激さの隠れ蓑を君主制に求めており、それは無知か卑怯に見えます
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ヤーヴィンの主張としては、アイヴィーリーグ卒の人文系エリートが官僚機構・シンクタンク・マスコミといった「ディープステート」を独占支配していることが究極の腐敗であるので、それと比較して君主の側近が私的利益を得ることは腐敗でも何でもないんですよ。ヤーヴィンの構想する専制君主のモデルは巨大企業のCEOなので、能力によってその地位を得た「幹部社員貴族」が特権を得ることは当然だと見なします。ヤーヴィンは歴史に無知なのではなく、歴史を知ったうえで、君主制の欠点を詭弁で「有用性」に置き換えている、それだけに過激であり危険なのです。

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