「……それを聞いて安心しました。ならば、これは余計な物でしたね」
そう言って吸血鬼が手首を翻せば最深部への通路が消える。
「魔王城って広いの?」
「果てしなく。冒険するのは構いませんが、魔王討伐が目的ではないのなら余り深く入らない方がいいですよ。奥へ行くほど瘴気が濃くなる」
「うげっ」
「見たところ貴方は大丈夫そうですが、お連れの子にはまだ深部の瘴気は危険です。目安として3時間以内には魔王城を出てくださいね」
「ん、わかった。というかお前親切だな?」
「下心しかないのでお気になさらず」
「なるほど?でもサンキュ!」
そう言って吸血鬼の手を握る金色の瞳に葦の瞳も丸くなる。

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