某映画パロ×不老ネタのルロー
🐯はいつも一人ぼっちだ。
紛争が絶えない国に生まれ、幼い頃に家族を失った。国境を一人彷徨ってるところを連盟軍に救われ、国際養子縁組で海を渡った。けれど、言葉の通じない国で友達はできなかった。戦火の火傷の痕も生々しく、それを見た子供達から「モンスター」と虐められた。
養父母は優しかったが彼らが営む飲食店は朝から晩まで忙しく、🐯を気にかける余裕はない。🐯も心配をかけまいと気丈に振る舞った。
🐯は公園の隅で一人、虫を探したり木の葉の観察をして過ごした。
ある日、ベンチに男が座っていた。左目の下に傷があり、冬なのに麦わら帽子を下げている。
🐯はいつも一人ぼっちだ。
紛争が絶えない国に生まれ、幼い頃に家族を失った。国境を一人彷徨ってるところを連盟軍に救われ、国際養子縁組で海を渡った。けれど、言葉の通じない国で友達はできなかった。戦火の火傷の痕も生々しく、それを見た子供達から「モンスター」と虐められた。
養父母は優しかったが彼らが営む飲食店は朝から晩まで忙しく、🐯を気にかける余裕はない。🐯も心配をかけまいと気丈に振る舞った。
🐯は公園の隅で一人、虫を探したり木の葉の観察をして過ごした。
ある日、ベンチに男が座っていた。左目の下に傷があり、冬なのに麦わら帽子を下げている。
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男は人攫いで品定めをしているのかもしれない。けれど次の日も男は🐯を眺めるだけで動く気配がない。🐯は先手を打った
「おい。お前、人攫いか」
男はきょとんと目を丸くして腹を抑えて笑い出した
「ごめんな。驚いて、嬉しくて、笑いが止まらなくなっちまった」
「嬉しい?」
「ししっ。話しかけられたのは初めてだ!」
男は優しい眼差しを🐯に向けた。その瞳を知っているような気がして🐯は吸い込まれるように近づく。男は🐯の頭をポンポンと叩いて太陽のように眩しく笑った
「会いたかったぞ、🐯男」
変な呼び名さえ、不思議と懐かしかった
名前を聞いても教えてくれないから🐯は仕方なく「👒屋」と呼んだ
子供のように無邪気で真っ直ぐでいて、👒は世界のことをよく知っていた
🐯が生まれた国以外でも紛争がって人間はそれをもう何百年と繰り返していること。地球は丸くて水平線は円を描いていること
二人は木陰に鳴く虫を探したり、歴史を語り、空の星を読んだ
そうして数年が過ぎた
この頃には🐯もこの国の言葉が上達し、すっかり身長も伸びた。体力がついたことで火傷の痕を治療する手術を養父母が受けさせてくれた
🐯には友達が沢山できた。部活も始め、朝から晩まで忙しくなった。公園へ行く日は一日、また一日と減った
🐯はようやく気がついた。👒はもう公園に来ることはないのだ
数年後
長く伸びるレッドカーペットの終着点、スポットライトが降り注ぐ壇上に🐯の姿があった
「主演男優賞という名誉を得られたのは家族や仲間、恩人のおかげだ。一人一人に感謝を伝えたい」
藍のベルベットのスーツに身を包んだ🐯は特別に美しく、誰もが夢中だ。凛と澄んだ声に名前を呼ばれガッツポーズやピースサインをして誇らしげな監督や女優が画面に映る
「そして、👒屋。孤独だったおれを支えてくれた人。会いたい。今、お前はどこにいるんだ」
さては🐯の別れた恋人か
次の日の新聞は一斉にゴシップを書き立てた。実力人気共にNo. 1俳優に、男か女か歳も何もわからない尋ね人がいるのだ
「ホテルに取材陣が殺到してて大騒ぎだ。言わんこっちゃない。もっと穏便な方法があったでしょ」
「穏便な方法で見つからないから強硬手段に出たんだよ」
マネージャーの🐧が呆れたようにため息をつき、コーヒーを差し出した
🐯は授賞式のある映画祭に参加するためにホテルに滞在していた。スイートの窓から表通りを覗くと、🐯の様子を探り出そうとするパパラッチの数が倍に膨れ上がっていた
👒と会えなくなってからも、僅かな期待を胸に抱いて、予定がない日は公園を覗いた。👒に会えないことがこんなにも寂しく悲しいことだと🐯は思い知った
🐯がハイスクールに上がった年の冬、それは👒と初めて出会った日と同じように寒々とした今にも雪が降り出しそうな日だった
今日こそは会えそうな予感がした
かつて👒が座っていたベンチに腰をかけ🐯は寒空の下で👒を待ち続ける。日もとっくに暮れ、🐯は悪寒に襲われて諦めて家に帰る頃にはすっかり熱が上がっていた。高熱にうなされながら🐯は夢を見た
夢の中で🐯は👒に会った
違う船の船長だ。大海原を駆け巡り、時に手を結び、時に敵対し、横に並び、競い合う唯一無二の好敵手だった
それは夢と呼ぶには余りにもリアルで、けれど遠い昔の記憶のように曖昧だった
それからも🐯は毎日のように夢を見た。アルバムの1ページを開いたように、唐突に海賊時代の映像が流れる。繰り返されるうちに👒以外にも何度も現れる面子がいた
🐯はこの夢が何なのか知りたかった。👒以外にも夢の登場人物は、仲間はこの世に存在するのか
効率よく仲間を探すためには🐯が有名になることが一番だった
🐯は俳優を志すことにした