『藤の花をみたら思い出しておくれ』 伊和千晶さん。
奇想と幻想の間を迷歩するような世界観で興味深かったです。日本のどこかに伝わるご当地伝承神話(民話)をモデルへ現代版アレンジされたのかと思わせてくれる雰囲気がありました。日頃読みつけない一風変わった物語を面白く見せてもらい楽しかったです。転じるシーンはどこもかしこも夢見心地にしてくれる情景描写。そんな作中、母を好きでいる気持ちと好きだからこそ嫌う気持ちが入り乱れて変化する心も何が何だかよく分からなくなる人間味があり、それさえ独特な周囲の登場人物や奇妙に移り変わる世界に揉まれていった。何とも言えない魅力がありました。

#東京銀経社アンソロジー

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