#300文字小説
駅、という言葉は今では鉄道が停まる場所を指す言葉だけれど、駅自体は鉄道ができる前から存在した。
主に馬を乗り継ぐための中継所として街道に一定間隔で整備されたものらしいが…。
「まさか見ることになるなんて」
異世界転生して最初に驚いたのは、中世頃だろう文化圏の発展度合いと、随所に見られる生活の知恵だった。
馬車があれば当然駅がある。人が集まれば家ができる。
大学で社会学を勉強していた私にとって異世界の社会に興味が尽きなかった。
「いやあなたには魔王を打ち倒していただきたいのです」
私を異世界から転生させた魔術師が言う。
「魔王が人類社会へ与える影響を調査してからです」

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