さくら神社(5/6)
気を取り直して、猫について行く。石段を登り神社に近づくと、心地よい桜の香りが鼻腔をくすぐる。明かりのない夜の山の中で、その神社の周辺は、いやに明るかった。
神社に着くと、猫はまるで境内が自分の居場所であるかのように、そこに丸まった。そうか、お前は。いや、あなた様は。
社の方を見る。桜の中に佇むその神社は、小さいがしかし、どっしりとそこに構えて、私という突然の参拝客を迎え入れていた。二礼二拍手。
「〇〇市△△区××町から来ました--と申します。」
先程は、黒猫の身を借りて私を助けて頂き、ありがとうございました。
気を取り直して、猫について行く。石段を登り神社に近づくと、心地よい桜の香りが鼻腔をくすぐる。明かりのない夜の山の中で、その神社の周辺は、いやに明るかった。
神社に着くと、猫はまるで境内が自分の居場所であるかのように、そこに丸まった。そうか、お前は。いや、あなた様は。
社の方を見る。桜の中に佇むその神社は、小さいがしかし、どっしりとそこに構えて、私という突然の参拝客を迎え入れていた。二礼二拍手。
「〇〇市△△区××町から来ました--と申します。」
先程は、黒猫の身を借りて私を助けて頂き、ありがとうございました。
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礼を言って目を開くと、黒猫は漆黒の双眸をこちらに向けて、じっと見ていた。それから満足そうに欠伸をすると、目を瞑って丸まった。
私は、黒猫と神社に向かって一礼をしてから、くるりと踵を返した。石段を降りていくと、次第に桜の気配が遠のいていく。最後の一段を降りた時には、遠くの方で夜が明けるのが見えた。
〈了〉