余談ながら、その後90年代に入って頭角を現した園子温は石井隆フォロワーとも取れるような「女の解放」テーマの映画を撮るようになるが、石井隆と園子温を決定的に分かつ点は男の身勝手に対する自己批判の姿勢の有無であり、石井隆にはそれが痛ましいほど過剰にあるが、園子温は逆に「男が女を解放する」というナルシシズムになってしまう。だから石井隆の映画はいつまでも何度でも観るに耐える深度と強度があるが、園子温の映画にはそういうものがなく、薄っぺらいんである。

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