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40 days ago
リーマン尾形と建設現場作業員杉元
sgo
エピローグぽいのができました。
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40 days ago
朝に降っていた小雨は昼にはすっかり上がり、夕方には道路が乾いた。帰り道を急ぐ人の波を眺めてはカップに入ったコーヒーをすする。
最近の俺は学習をして鞄には折り畳み傘が入っている。傘をそのまま置けないなら持ち歩けばいいと気づいた。この閃きに杉元は少し残念そうにして、うん…いいアイデアだねと言った。
金曜日。
会社終わりにスーツのままカフェに入って時間をつぶす。街なかを眺めていると後ろから 、お待たせと声をかけられた。そこに居たのはアウトドアメーカーの上着にデニムとスニーカーに、背中には黒のリュックを背負った、健康的に焼けた顔がさわやかな男だった。
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40 days ago
その男、つまり杉元からじゃあ行こっかと言われて一緒にカフェを出て歩き出す。
傍から見たらスーツのおっさんと若者。3歳しか違わない俺達だったがスーツとラフな格好の2人が並ぶとその差はもっと開いたように思えた。他人が見たら俺等は、友人なのか、兄弟か、はたまた援助の類なのかよくわからない組み合わせに見えるだろうなとぼんやりと思う。
少し前を行く杉元をみては、俺も着替えを持ってくればよかったと少しだけ思った。そんな考え事をしながら歩いていた俺は歩みが遅れてしまい、杉元と距離ができる
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40 days ago
少ししてから、話しかけた後ろに居るはずの俺から返事がなかったことで杉元が振り返り、遅れ気味だった俺に気づいたようだった。杉元が戻ってきて笑いかけては、早く行こうと手を繋ぐ。その左手に輝くプラチナの煌めきにどきりとしてなんだか嬉しくなった。
今日は杉元と映画デートをする。
俺たちは結婚後もこうして時々、外で待ち合わせてはデートをする。待ち合わせデートは大抵は仕事終わりで、外でご飯をしたり、散歩がてら夜景を見に行ったり、今日のように映画を観に行く。
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40 days ago
今日の映画は2人とも興味があって観たいやつだったのでお互いすごく楽しみにしている。観たい映画というのは杉元と俺とでだいたいは違った。何を観るかを決めるとき、観たいものが違う場合にはじゃんけんで決める。そして勝った方の映画を先に観て、負けた方の映画はその次に行ったときに観ることにしている。
俺は観たい映画が揃ったときは思いが通じたかのように嬉しくなるのだが、杉元は違ったときこそ嬉しいと言う。俺にはそれがよくわからなくて杉元に尋ねたことがあった。すると杉元はにこりと笑ってこう言った。
「だって、尾形と次のデートが近いうちにできるってことだろ」
その理屈を聞いて俺は顔が赤くなったことを思い出した。
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40 days ago
確かに映画というのは上映期間が決まっていて、よほどの話題作にならない限り3週間ほどで終わってしまう。だから違う映画を観るために、できるだけ早いうちに映画館にまた来ないといけない。つまりデートをする口実ができるということだった。同棲したって、結婚したって、どんなに同じ家に住んでいたって外で待ち合わせる時間は毎回初々しい気持ちにさせてくれる。それを楽しみにしているのが俺だけじゃないということがわかって嬉しかった。
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40 days ago
売店でポップコーンと飲み物、杉元はこれもと言ってホットドックを1つ買った。予約したチケット番号の椅子を探して座り、上映時間を待つ。杉元と俺の間に置かれたポップコーンに手を伸ばすと、横からふんわりと石鹸の清潔な香りが漂った。
杉元は仕事終わりのデート前には必ず、スーパー銭湯で汗を流してから俺と合流する。汗や砂ホコリにまみれて仕事を頑張っているが、ヘルメットで髪型もつぶれているし汗臭いまま俺に会うのは嫌だと言って銭湯に行ってから会うのがお決まりになっている。
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朝に降っていた小雨は昼にはすっかり上がり、夕方には道路が乾いた。帰り道を急ぐ人の波を眺めてはカップに入ったコーヒーをすする。
最近の俺は学習をして鞄には折り畳み傘が入っている。傘をそのまま置けないなら持ち歩けばいいと気づいた。この閃きに杉元は少し残念そうにして、うん…いいアイデアだねと言った。
金曜日。
会社終わりにスーツのままカフェに入って時間をつぶす。街なかを眺めていると後ろから 、お待たせと声をかけられた。そこに居たのはアウトドアメーカーの上着にデニムとスニーカーに、背中には黒のリュックを背負った、健康的に焼けた顔がさわやかな男だった。
傍から見たらスーツのおっさんと若者。3歳しか違わない俺達だったがスーツとラフな格好の2人が並ぶとその差はもっと開いたように思えた。他人が見たら俺等は、友人なのか、兄弟か、はたまた援助の類なのかよくわからない組み合わせに見えるだろうなとぼんやりと思う。
少し前を行く杉元をみては、俺も着替えを持ってくればよかったと少しだけ思った。そんな考え事をしながら歩いていた俺は歩みが遅れてしまい、杉元と距離ができる
今日は杉元と映画デートをする。
俺たちは結婚後もこうして時々、外で待ち合わせてはデートをする。待ち合わせデートは大抵は仕事終わりで、外でご飯をしたり、散歩がてら夜景を見に行ったり、今日のように映画を観に行く。
俺は観たい映画が揃ったときは思いが通じたかのように嬉しくなるのだが、杉元は違ったときこそ嬉しいと言う。俺にはそれがよくわからなくて杉元に尋ねたことがあった。すると杉元はにこりと笑ってこう言った。
「だって、尾形と次のデートが近いうちにできるってことだろ」
その理屈を聞いて俺は顔が赤くなったことを思い出した。
杉元は仕事終わりのデート前には必ず、スーパー銭湯で汗を流してから俺と合流する。汗や砂ホコリにまみれて仕事を頑張っているが、ヘルメットで髪型もつぶれているし汗臭いまま俺に会うのは嫌だと言って銭湯に行ってから会うのがお決まりになっている。